テーマは「気象」!航空業界で実際に使われているMETAR表記をまとめました。
METARとTAFとは
空港の気象を表すもののうち日本でよく使用するものは、大きく分けてMETARとTAFの2種類あります。
METAR<定時航空実況気象通報式>
現在の空港の気象。1時間毎又は30分毎に発表。
TAF<運航用飛行場予報気象通報式>
METARを基に今後の気象に関する予報。3時間ごとに発表。
このように、実況と予報があるのですが、今回は METARの読み方を解説したいと思います。おそらく、METARが読めればTAFも読めるようになる部分が多いと思うので。。
METARをアプリで開く
今回は、METARをアプリで学ぼうと見ようと思います。そこで使用するのがこちら。
←AeroWeatherアプリ
このアプリで、自分の好きな空港のMETARとTAFを常に確認することができます。更新もしっかり時間通りに行われるので有能!!
AeroWeather Lite on the App Store
Aeroweather Lite - Google Play の Android アプリ
METARを見てみる
今回は「羽田空港」を見てみようと思います。
左上の「+」から RJTTと入力すると、羽田空港を登録できます。
いざ開いてみると ドンっ
RJTT 291330Z 12006KT 9999 -RA FEW030 BKN035 21/19 Q1015 NOSIG RMK 1CU030 5CU035 A2999
でたーこの航空業界特有文字数字列
はい。METARとは このような文字列によって、現在の気象が表示されています。
実は AeroWeatherのアプリには、それが解読されたバージョンの表示もあります。しかし、そればかり見ているとMETARが本当に読めなくなってしまいます。本気で勉強する人は、解読バージョン(Decoded version)は禁止することをおすすめします。
METARの読み方解説!
RJTT 291330Z 12006KT 9999 -RA FEW030 BKN035 21/19 Q1015 NOSIG RMK 1CU030 5CU035 A2999
これを読むにはまず何の項目について書かれているのか知る必要があります。なので、表示されている順番通りに一つずつ解説して行こうと思います。
空港コード ~RJTT~
これは、空港を表す4レターコードの事です。コード一覧はコチラ↓
発表時刻 ~291330Z~
これは、気象実況を発表した時刻の事です。初めの2桁が日にち<29日>、次の2桁が時<13時>、最後の2桁が分<30分>を表します。そして最後に毎回 Z を付けるのですが、これは、協定世界時(UTC)の事。これに+09:00したものが日本標準時(JST)です。つまり、この291330Zとは、日本時刻で29日の22時30分の発表ということになります。
風 ~12006KT~
これは風速と風向を表します。最初の3桁が風向<120°の方から>を表し、後の2桁が風速<06knots>を表します。KTとはknotsの略ですね。つまり、12006KTとは、東南東120°の方向から、西南西300°の方向に向かって、6knotsの風が吹いているという意味です。
↓風向の3桁が分からない人はコチラの記事をチェック!↓
視程 ~9999~
こちらは、パイロットが目視できる距離の事。雨が降っていたり、雲が低かったりすると、視程が悪くなり着陸が困難になります。事実、視程が悪い時は、着陸方法が変更になったりといろいろと決まりがあります。
視程は常に4桁で表記します。
- 視程10km以上 9999
- 視程5000m~10km 1000m単位で4桁表記
- 視程5000m以下 100m単位で4桁表記
上の例では9999なので視程10km以上で飛行に影響はなさそうですね!
天気略語 ~ -RA ~
これは俗に言う「雨」とか「みぞれ」などの天気を記号で表します。表記ルールは複雑なので黄色マーカー付きの基本的なもののみ覚えましょう!
強度
- + 「強い」
- (記号なし) 「並み」
- - 「弱い」
- VC 「飛行場周辺の」
特性
- MI 地 shallow
- BC 散在
- PR 部分
- DR 低い
- BL 高い
- SH しゅう雨性 SHower
- TS 雷電 ThunderStorm
- FZ 着氷性 FreeZing
降雨状況
- DZ 霧雨 DriZzle
- RA 雨 RAin
- SN 雪 SNow
- SG 霧雪 SnowGrains
- IC 氷晶 IceCrystals
- PL 凍雨 icePeLlets
- GR ひょう
- GS 雪あられ
視程障害状況
- BR もや mist
- FG 霧 FoG
- HZ 煙霧
- DU じん DUst
- SA 砂 SAnd
- VA 火山灰 Volcanic Ash
- FU 煙
以上が天気を表す記号です。
今回の「-RA」は、弱い雨を表します。羽田くらいなら、+や-と、RAやSNなど基本的なものが組み合わせられるくらいなので、基本的に「黄色マーカーの項目」だけでだいたい読めます。
雲 ~ FEW030 BKN035 ~
雲の多さとその雲底の空港からの高さを表します。
雲の多さ
- SKC 雲のない スカイクリアー
- FEW 空全体の1/8~2/8を覆う雲 フュー
- SCT 空全体の3/8~4/8を覆う雲 スキャター
- BKN 空全体の5/8~7/8を覆う雲 ブロークン
- OVC 空全体の8/8を覆う雲 オーバーキャスト
- /// 測定不可能
雲底
雲底とはその雲の最も低い部分の高度を空港から測ったものを100ft単位で3桁で表したものである。020だと、2000ftとなる。
今回の「FEW030 BKN035」なら、高度3000ftに空の1/8~2/8ほどの雲があり、高度3500ftに空の5/8~7/8をほどの雲が存在する、と読むことができる。
気温/露点 ~21/19~
摂氏による気温と露点を表す。また、氷点下の場合は接頭に M をつけます。今回の21/19は、そのまま読み、気温21℃ 露点19℃ですね。
余談ですが、この露点は意外と重要です。露点とは何度よりも低くなったら、空気中の水分が水になるか、ということです。これを知ることで、どれくらいになったら水が凍ってしまうのかを判断できます。それに対して、水が凍ってしまうと速度計などが動かなくなるので、熱を送って融かす機能をオンにします。また、霧が多い時に、露点が高くなったりすると、今後霧が晴れることが予想される、というように今後の気象予測に使うことも可能です。
高度計規正値 ~Q1015~
これは、その時に空港周辺でのQNHで設定すべき規正値を載せています。
QNHが分からないひとはコチラ!
天候変化 ~NOSIG~
これは、現在の天気は、これから変化していくかどうかについてです。
- NOSIG 変化なし ~no significant change~
- BECMG 継続的に変化/のち ~becoming~
- TEMPO 一時的に変化/ときどき ~temporary~
CAVOK
- 視程10km以上
- 5000ft以下の高度に雲がなく 全ての高度に積乱雲や塔状積雲がない
- 天気略語に該当する現象はない
このすべての条件が揃った時のみ、特にCAVOKと表記される。天気は極めて良好である。
RMK
REMARKの略で、そのあとに特記事項が来ることを宣言します
雲の詳細情報 ~1CU030 5CU035~
多くの場合は、前述してある雲の情報「FEW030 BKN035」に雲の種類を追加情報として載せます。
雲の量
先程と同様に空のどれくらいを覆うか、8分量で表す。例えば「3」なら「空全体の3/8を覆う」ことを意味する。
雲の種類
- CI 巻雲 Cirrus
- CC 巻積雲 Cirrocumulus
- CS 巻層雲 Cirrostratus
- AC 高積雲 Altocumulus
- AS 高層雲 Altostratus
- SC 層積雲 Stratocumulus
- ST 層雲 Stratus
- NS 乱層雲 Nimbostratus
- CU 積雲 Cumulus
- CB 積乱雲 Cumulonnimbus
- TCU 塔状積雲 Towering Cumulus
これも全部を暗記する必要はありませんが、コツをつかめば楽に理解できます。
- Cは、巻(cirrus)と積(Cumulus)。
- Aは、高(alto)
- Sは、層(Stratus)
の三つを覚えておけば、だいたい組み合わせで理解できます。
雲の雲底
先程と同様に、雲底を3桁で表示します。
→よって、今回の「1CU030 5CU035」は、空の1/8ほどの積雲が3000ftにあり、空の5/8ほどの積雲が3500ftにあることが分かります!
高度計規正値(inHg) ~A2999~
これは、既に記載してある高度計規正値を、水銀柱インチ(inHg)に単位変換したものを記してあります。
↓↓単位変換についてはコチラ↓↓
まとめ
今回は、METARの読み方を勉強しました。すごい長い記事になってしまってすいません! でもこれが完全に理解できた時には、航空業界で働くとしても通じるほどの気象知識がついてると思います!ぜひ毎日このアプリをチェックして、詳しくなろう!