航空講座「FLUGZEUG」

飛行機のおもしろ雑学/豆知識を紹介

【速度】飛行機はどれくらい速く飛ぶの?【ノット】

飛行機はどれくらいのスピードで飛行しているのでしょうか?空を飛んでる飛行機を見てもあまり進んでないように見えますよね?でも実はすごく速いんです。今回は飛行機の速度について紹介。

飛行機はどれくらいの速さで飛んでると思う?

んー。空飛んでるの見たらありさんと同じくらいかな。。

うーん…

飛行機の速度

 

飛行機の速度はどれくらい?

答えは「時速860km・マッハ0.8」です。

これは、基本的にどの旅客機も離陸後着陸前までは、この速度で巡航します。

【飛行機の巡航速度】
・マッハ0.8
・秒速300m
・時速860km
・466 knots

※これはB767の巡航速度であり、機体によって多少の差はあります。各機体ごとの巡航速度は後述しています。

また、国内線等で混み合っている場合や小さなプロペラ機の場合はこれとは異なる速度で飛行しています。さらに、飛行機は風の影響も受けるので、実際に飛行している速度はこの速度とは異なります。詳しくは後半の章で記述します。

マッハとは

音速に対する速度のことです。音速は、秒速340m つまり 時速1225kmです(※気温15℃時)。

よって、飛行機の速度であるマッハ0.8は、音速の0.8倍、つまり秒速300m時速864kmに相当します。

ノットとは

航空業界では飛行機の速度はknots(ノット)を使って表します。

  • 1 knot = 0.514 m/s (約半分)
  • 1 knot = 1.852 km/h (約2倍弱)

これは1ノットとは1時間に1海里進む速さ、というのが定義です。

ここで冒頭に述べた「864km/h」を換算すると「466 kt」となります。

 

航空業界にはこの他にも、独特な単位が存在します。航空業界について学ぶためには、まず一番に知っておくべき常識になります。
航空業界に興味のある方は「航空単位のまとめページ」は要チェックです。

 

各機体の巡航速度一覧

航空機の巡航速度はほとんど同じですが、実際には機種ごとに異なります
各航空会社からの情報を元に、以下の表でまとめました。

本日フライトのある皆様、ご自分の乗る飛行機を探してみてください。

 
機種
時速(km/h)
B787
910
B777
890
B767
850
B737
830
A350
920
A321
840
A320
840
DHC8-Q400
660
EMBRAER170
800
EMBRAER190
800
SAAB340B
500
ATR42-600
556
ATR72-600
510
 

飛行機速度と風の関係

それでもよく聞くのは、「いやでも飛行機っていつも乗るたびにスピードが違う気がする。」という意見です。これはある意味正解である意味不正解なんです。 答えのポイントは「風」です。空では基本的に地上よりも強い風が吹いていて、時には時速300kmを越す気流も発生します。そんな過酷な環境下で飛ぶ飛行機は、常に850km/hで飛んだとしても、向かい風だと700km/hほど、逆に追い風だと1000km/h越しになることもあります。だから、常にマッハ0.8で飛行していても、実際の速度にはバラツキがあるんですね。 

 

よく聞く話だと、東京ニューヨーク便などで、太平洋横断の際です。HND➡︎JFK だと 12時間ほどのフライトが逆にJFK➡︎HND の場合は全く同じルートなのに、14時間もかかることがあります。これは 太平洋上空の「偏西風」の影響ですね。地球の自転速度によってできる、 西から東への空気の大きな流れです。これにより 先程の説明のように、向かい風によって2時間ものロスタイムを喰らうことになります。

 

対地速度と対気速度

これまで話してきたように、飛行機の速度には2種類あります。

  • 対気速度  飛行機そのものが出している速度
  • 対地速度  飛行機が実際に進んでいる速度

 

こんな2つも使用するのは面倒臭いと思うかもしれません。しかし、空のプロフェッショナルにはどちらも必須な指標なんです。

例えば、管制官が見るレーダーには「対地速度」のみが表示されます。なぜなら、飛行機同士の衝突を阻止するためには、飛行機が地面に対してどれくらいの速度で動いているか、が大切であるからです。
しかし一方で、パイロットは飛行機のエンジンを操作する際には「対気速度」を確認します。エンジンは風の流れを考慮するわけではなく、エンジン自身がどれくらいの水力を産むかどうか、だからです。そのため、コックピットの速度計には対気速度が表示されています。

この2つの差をどこで修正するかというと、それは「管制官」です。管制官は、レーダーに写る対地速度を見て、風速の情報を考慮しながら、パイロットに対気速度を支持します。本当に冷静な判断力と情報処理能力の求められる、高レベルなお仕事なのがわかります。

 

実は5種類もある速度

ここまで、風速による2種類の速度、対地速度と対気速度を紹介してきました。しかし、実際には5種類もの速度が存在します。これは、空気の気圧などによる誤差を考慮することで、さらに細かく分類されるからです。

 

速度計器や、より詳しい速度の名称などはコチラをどうぞ。


 

フライトレーダーで見てみよう

では実際に今のFlightradarを開いて確認してみましょう。

 

f:id:r-flugzeug:20170910033213p:image

東へ向かう機体 536knots = 992 km/h

西へ向かう機体 461knots = 853 km/h

f:id:r-flugzeug:20170910033206p:image

このように顕著に差が表れていました。
特に、上のB777は太平洋のど真ん中にいたので風の影響が大きかったと思います。
 

まとめ

飛行機は850km/hという速いスピードで世界を飛び回っているからこそ、風の影響も大きく受けます。飛行機は一時間ほどの着陸遅れなどが発生することがよくありますが、この記事にあるように厳しい気象条件も遅延の理由の1つです。今度飛行機が遅れてしまっていたら、「今日は向かい風が強かったのかな」と空を見上げてみましょう。

関連記事

このサイトについて       プライバシーポリシー       お問い合わせ

©2017-2022 航空講座「FLUGZEUG」 All rights reserved