航空講座「FLUGZEUG」

飛行機のおもしろ雑学/豆知識を紹介

【高度規制値】航空高度って一種類じゃないの!?

高度にも様々な種類があります。それぞれ役割が違うんです。それらをまとめて紹介します!

 

え、ちょっと待って。
高度はどう考えたって一種類でしょ
((これ以上知識増やしたくない。。

はじめに 

今まで高度に関してはいろいろ話してきました。

今回はこれにつづく第三記事です。

高度は飛行機の基本なんで、しっかり覚えましょう:)

 

高度の測り方

飛行機上ではどうやって高度を測るのでしょうか?飛行機から、メジャーを垂れ流し。。そんなわけないですね。

正解は、圧力を利用して測定します。

なぜでしょうか。それは、高度が高くなればなるほど、空気が薄くなる。つまり気圧が低くなるからです。そのため、自分のいる場所の気圧を測定することで、自分のいる高度を求めることができるんです。

しかし!気圧って時間や場所によって一定じゃないですよね?例えば、台風は低気圧とも言いますし。。つまり、気圧は時間や場所によって、調節しないといけないのです。

そのために存在するのが高度計規正値。通常はinHg(インチ)を使って表します。この規正値を高度計に入力することで、気圧から正確に高度を知ることができます。

高度計規正値には大きく3つあります。それぞれについて詳しく見ていきましょう

規正値①QNH

これは、海抜0mを0m(基準)と設定した高度を航空機の高度計に表示させるための規正値。

規正値②QFE

これは、空港のある高さを0m(基準)とした高度を航空機の高度計に表示させるための規正値。しかし現在日本では使われていません。中国やロシアなどで使用。

 これら2つの規正値は、前述したとおり時間や場所によって変化するために、管制官から常に新しい情報を得る必要があります。

 しかし、飛行機のいる場所は刻々と変化します。そうすると、数分に一回QNH入力し直し、、、。そんなの面倒すぎますね。そのために、新しく生み出された規正値がコチラ。

規正値③QNE

海抜0mの気圧が、国際標準大気圧であったと仮定したときの高度を表示させるための規正値。

<国際標準大気圧>
海面で気温15℃/気圧1013.2hPa(=29.92inHg)/空気密度0.12492kgS^2/m^4

 

「え、今さっき気圧は場所時間で変化するって言ったじゃん」

そうなんです。だから、このQNEは正確でない高度を表示させます。

なぜこのような不正確な高度計が採用されるかというと、正しい高度を表示させる必要がないからです。

低高度で飛行していたら、山などとぶつかる可能性があります。そのため、QNHを使用して、海抜何mに自分がいるのかを知る必要があります。

一方で、高高度で飛行している場合は、障害物となり得るのは他の飛行機くらいしかありません。つまり、他の飛行機と同じ基準で高度を測っていれば、実際の高度は間違っていても問題ないのです。衝突する可能性のある飛行機は、近くにいる、つまり同じ気圧の中を飛んでいます。それぞれの飛行機でQNHを設定するよりも、何時でも変化しないQNEを設定した方が、確実に衝突を回避することはできます。

しかし、唯一の弱点は、高度としては正確でない数値のために、山などと衝突するような低高度では使用できません。そのため、QNEが使用できるのは14,000ft以上を飛行する際のみ、と決められています。こうして、14000ft以上でQNEを設定する方法を「QNEセッティング」と呼びます。

 

また、QNEを使用する際には高度の単位が変化します。

フライトレベル(FL)

これは、14000ft以上を飛行している際に、QNEセッティングによって得られた高度の単位であり、大きさは フィートの100倍です。例えば、14000ftに相当するものは、FL140と表記して、フライトレベルワンフォーゼロと読みます。フィートからゼロをふたつとった感じですね。

しかし、ここで多くの人が14000ft=FL140と勘違いします。

QNHでの14000ftQNEでのFL140

この理由はもうお分かりいただけましたか? 基準気圧のズレや高度を測る目的をしっかり理解できていれば、違いは一目瞭然ですよね。

 

その他の高度

これまでは、QNH/QFE/QNEの3つのセッティングによる高度を見てきました。しかし、それ以外にもいくつか高度はあります

真高度

気圧の差だけではなく、上空の温度空気密度など、様々な他の要素を考慮して求めた超絶精密な値。求めるにはいろいろと計算がいります。

密度高度

密度高度も同様に空気密度で補正したものです。しかし、この高度は、飛行機性能を調べるために使われる高度です。つまり、密度高度20000ftと言われたら、実際に飛行している高度は30000ftかもしれないですが、航空機的には20000ftを飛行しているのと同等ということですね。

(既に速度の記事を読まれた方はわかるかもしれないですが、EASと同じような考え方です。TAS CAS EAS IAS GSについて)

絶対高度

電波高度計によって測定した海面や地表面からの高さのことです。これは、離着陸の際や、山越えの時に使用されます。地表面から近いところを飛ぶ際は、QNHよりもコチラの方が正確なのは、「電波高度計」という名前からも 想像がつきますね。

フライトシュミレーターをやっている人は分かるかもしれませんが、着陸の際にコックピットに流れる「100....50...40..30..20..10..」みたいな音声は、絶対高度を元にしています。

 

まとめ

このように、高度だけでも、これだけ大量の種類があるんですね。大変。。 でも安全を第一とする航空業界だからこその事です。これだけの数字を扱って飛んでいると考えると感動しますね。

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